四の五の帳

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HAVE A NICE DAY/大世界(2017)

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HAVE A NICE DAY/大世界

アマプラで観放題終了前に滑り込み視聴した中国発のアニメ映画。

監督は劉健/Liu Jian。

 

犯罪組織の運転手である主人公が組織の金を奪って逃げた。男の目的は、整形手術に失敗した彼女を韓国に連れて行き、再手術を受けさせること。

 

って書くと動機があまりにもしょっぱくないか???と一瞬思ってしまうが、顔が腫れて外にも出られないような彼女を元気づけるために韓国での再手術を思いついたのだと考えるとなかなか健気な青年に思えてくる。とはいえ、人のものを盗むのは絶対にダメだが。

実際、なりゆきでたまたま運転手になってしまったらしいものの行動はあくまでもおとなしい(金の大部分を彼女に使ってもらおうと考えているからだろうか、この主人公は金を持っていても贅沢とかそういうのは全くしないのだ)。思いつめた先に凶行に及んだんだろうな、と何となく思わされる。繰り返し言うが、相手が犯罪組織だろうと盗みが悪いことに違いはない。境遇には同情するけど。

ちなみに主人公の彼女の顔は最後までわからない。だから、観客側が勝手に「なーんだお金盗んで整形するほどでもないじゃん!」とか「こりゃお金盗んででも整形しなおしたくなるわ、仕方ない」とか判断することができない。主人公とその彼女の苦しみは観客の手の届かないところにある。この辺が一方で主人公の必死さを感じさせ、もう一方で何でこの人逃げてるんだっけ?とシュールさを感じさせもする。

 

全編「タンタンの冒険」みたいな質感のアニメで雰囲気ありまくり。時折これって実写取り込みかな?と思うような小物もある一方、人物の描写はごくごくシンプルで平面的。人物には徹底して陰影を施さず、衣服や肌のしわがつけられてる程度。一応、光の効果などでグラデーションがかかることもあるが、ひとつのパーツにつき1色くらいのシンプルさ。背景と人物の書き込みに差があるおかげで画面がごちゃついたりくどくなったりしすぎないように感じられた。

あと、いわゆるヌルヌル動くアニメーションとかではない。動きは最小限だけど、観てる間は何となく脳が補完してくれてる気がする。

 

話としては、犯罪組織の追手が金を盗んだ主人公を探しに来るので逃げる……という割と素直なはずの筋書きながら、金を持っているせいでいらんことに巻き込まれたり、いらん人を引き付けてしまったりして金のありかが何度も変わってしまう。金と人とのすれ違いが幾重にも発生し、シンプルだったはずの物語がもつれてねじくれていく様子にはだいぶハラハラした。

中国の景色って本当にあんな感じなのかなぁ。一度も海外行ったことないから気になる。作品の中に出てくる人たちは良くも悪くもみんな感情に素直なのか、やり取りの中に自分にはない考えとか語彙が出てきて違いに感心させられたり、そんなことってある?と思ったり。海を隔てて向こう、地理的にはなかなか近いと言ってもやはり全然違うのが物珍しく魅力的に映る。

 

ちなみに盗まれた金だが、最後は誰のものにもならない。

金の周りで人間たちがド派手な玉突き事故を起こすだけである。

 

終盤に差し掛かる頃に挿入される、「自由」についての話が面白い。

自由とは何か?という問いに対し、この世には3つ自由があると言う男。その自由とは①生鮮市場の自由②スーパーの自由③ネットショッピングの自由。その心は、①生鮮市場で値段や旬を気にせず好きなものを買える自由②スーパーで値引きなんかを気にせず好きなものを買える自由③ネットで何でも好きなものを値段なんか気にせず買える自由……ということで、「すっごくわかるわぁ~」と思うのでした。おつとめ品を愛してやまない身なのでね。ただ生鮮市場は逆に縁遠いかなぁ。

自分もスーパーの自由とかネットショッピングの自由が欲しい!

映画、面白かったです。

 

↓こちらの方のレビューがめちゃくちゃ詳しいので興味あったら是非!

mangotokyo.livedoor.blog

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